「腎臓病は完治しない。」これはこれだけ医療が進歩した現在においても 変わってはいません。 ですが、少しでももとの生活に近づけるような治療法が出てきています。 腎臓のはたらきを知って、上手く病気と付き合っていける方法をご紹介します。
私たちの身体のちょうど腰の高さで、左右ひとつずつ対になって存在している臓器が、「腎臓」です。それぞれ握りこぶしほどの大きさのこの臓器は、いったいどのようなはたらきをするのでしょうか?
腎臓のはたらきは、主に次の3つです。
1.代謝物や老廃物、薬物などを排泄するはたらき
2.体内の水分の量の調節と、その成分の恒常性を保つはたらき
3.レニンやエリスロポチンといったホルモンを分泌するはたらき。
それぞれのはたらきについて詳しくみていきます。
1.代謝物や老廃物、薬物などを排泄するはたらき。
腎臓の第1の役目は、排泄機能です。
たとえば、食事でとった「タンパク質」が体内で利用されると「尿素」という不要な物質ができます。これを身体の外へ排出するのが腎臓の役割です。また、食塩をとり過ぎた場合や、薬物、その他体内に生じた老廃物なども、腎臓のはたらきによって体外へと排出されます。
2.体内の水分の量の調節と、その成分の恒常性を保つはたらき。
からだに必要な水分を確保するとともに、過剰な水分を排泄して、体内の水分量を調節します。
3.レニンやエリスロポチンといったホルモンを分泌するはたらき。
ホルモンを分泌するはたらきとは、例えば、レニンというホルモンを分泌してそれが血液中のタンパク質に作用し、アンジオテンシンという物質ができます。すると、それが血圧をあげる作用をする、というように、腎臓があるホルモンを分泌することで血圧の調節をする、というものです。また、同様に腎臓が分泌するホルモンのはたらきで赤血球の調節も行われているのです。
腎臓病になるとこのようなはたらきに支障が出てくることになります。
かつては、「腎臓病に薬なし」と言われていました。それほど腎臓病の治療は困難であり、不可能に近い状態でした。
しかし近年では、薬物療法、透析療法(とうせきりょうほう)、腎臓移植(じんぞういしょく)、とすばらしい医療の進歩がみられます。
ただしその一方で、腎不全(じんふぜん)に陥る患者さんは増加傾向にあります。成人病から腎臓が傷めつけられて腎不全を起こす場合があるからです。
腎臓に悪い影響をもたらすものには、高血圧、糖尿病、高脂血症、痛風などの循環系・代謝系の病気です。したがって、こうしたいわゆる成人病の早期発見が腎臓を守ることにもなるのです。
◆腎臓のはたらき
腎臓は、ソラマメに似た形をし、当人の握りこぶし大です。これが左右一つずつ対になって、背骨をはさんで向かい合っています。ちょうど腰のあたりの位置に相当します。右側の腎臓は、上に肝臓があることから左側と比べて少し下がっています。
腎臓というのは、「ネフロン」という排泄機能をもつ小さな器官の集合体です。ネフロンひとつは、糸球体(しきゅうたい)、ボウマン嚢(のう)、尿細管(にょうさいかん)が組になっていて、ひとつの腎臓に100万個のネフロンがあるといわれます。
腎臓のはたらきは、主に次の3つです。
1.代謝物や老廃物、薬物などを排泄するはたらき。
2.体内の水分の量の調節と、その成分の恒常性を保つはたらき。
3.レニンやエリスロポチンといったホルモンを分泌するはたらき。
人間のからだは、約60パーセントが水分です。それよりも多くても、少なくても適量、すなわち「健康な状態」では、ありません。少ない場合には、のどの渇きを覚えることで水分を補給します。
一方、多すぎる場合には、汗や尿として排泄されるのです。この排泄機能の担い手が、腎臓です。
その一方で、腎臓は、水分の成分の恒常性を保つ働きもあり、それには体液を、余分なものは尿として排出し、少ないものは腎臓の尿細管という細く長い管を尿のもととなる血液が通って行く間に再吸収されることになります。
こうして常に一定の割合になるよう、コントロールされるのです。
再吸収されるおもな物質は、水、食塩、アミノ酸、ホルモン、ブドウ糖などです。1日に尿細管までいく尿のもととなる血液(原尿)は、150リットルにのぼります。しかしその99パーセントは再吸収され、実際に尿として排泄されるのは1パーセント、すなわち1500ミリリットル程度にすぎないのです。
腎臓は、年中無休、24時間働きづめです。しかもこの水分の再吸収は、特に、夜中に多く吸収するよう働きます。しかし年齢が増し、腎臓病になると、この機能が低下し、夜中に何度もトイレに起きる、ということになってしまうのです。
腎臓は、尿を排泄するはたらきもありますが、逆に体内に必要な成分は再吸収するはたらきもあります。
ということは、必ずしも、尿が多ければ腎臓が活発によく機能しているということでもなく、かといって尿が少なければ良いというわけでもなさそうです。
また、尿の色を観察していると、朝起きたときの一番の尿は、色が濃いように感じませんか?程度にもよりますが、これは特殊な場合を除いて、まず心配ないことが多いようです。老廃物がたくさん出ている・・・つまり、腎臓が活発に機能している、ということでむしろ良いことの証明です。
このように腎臓の機能の良し悪しは、普段の生活の中ではなかなかわかりません。なかなか警告サインを出してくれない腎臓が、手遅れの状態まで病に侵されないよう、日ごろから高血圧など、腎臓に負担をかける成人病に注意し、適切な検査を受けることが必要です。
腎臓病の検査には、尿検査、腎機能検査、のほか、X線検査や血液検査も行います。
1.病気の場所を知るための検査・・・尿検査、X線検査、など。
2.腎臓の機能の程度を知るための検査・・・腎機能検査
3.体液の異常の程度を知るための検査・・・血液検査
この尿検査とは、尿のPH、尿の量を調べます。腎機能検査というのは、PSP検査(排泄試験)とGFR検査(糸球体濾過値)です。そして腎臓病の血液検査というのは、主に血清尿素窒素(BUN)と血清クレアチニンです。これらは腎不全になると値が高くなることから、腎機能を知る上で重要なバロメーターになるのです。
腎臓病が疑われる場合、どのような検査が行われるのでしょうか?
以下にその主なものとして、たんぱく尿の検査、X線・超音波検査、腎生検査、PSP検査について、その内容、および異常な値となったときに疑われる病気をあげてみました。
●検査名・・・たんぱく尿の検査
具体的には、試験紙法、スルフォサルチル法、煮沸法、など
・検査の内容・・・尿中のタンパク量を調べます。
・正常値と異常の場合の疑われる病気・・・1dl中に10-20mlが正常とされます。これよりも高値となると、異常と考えられ、ネフローゼ症候群や糸球体腎炎が疑われます。
●検査名・・・X線検査および超音波検査
・検査の内容・・・形、腫瘍、のう胞、結石の有無などを調べます。
・正常値と異常の場合の疑われる病気・・・腎臓の大きさ、位置、腎盂(じんう)の形態の異常。
●検査名・・・腎生検
・検査の内容・・・組織の一部を取り、病気の有無を調べる検査。
・正常値と異常の場合の疑われる病気・・・細胞増殖や膜の肥厚、つぶれてしまった糸球体の比率など。
※参照:1個の糸球体は、直径約0.2ミリメートルと非常に小さなものです。しかし左右の腎臓を合わせて、約200万個の糸球体があります。ここを1日に血液が約150リットルも濾過されます。
●検査名・・・PSP検査
・検査の内容・・・赤い色素を注射して、それが腎臓からどれだけ排泄されるかを調べる検査。
・正常値と異常の場合の疑われる病気・・・15分値25~50パーセント以上が正常とされます。下降の場合、腎血流量低下、近位尿細管機能低下を呈する何らかの疾患が疑われます。